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札幌高等裁判所 昭和37年(く)1号 決定 1962年3月19日

少年 S(昭二一・一二・一〇生)

主文

本件抗告はいずれも棄却する。

理由

抗告申立人○田○子の抗告理由は同人提出の異議申立書と題する書面記載のとおりであつて、その要旨は、少年は知能が薄弱で、発作的に深く考えず事件に巻込まれるものであり、少年院に入所させるよりも親の手元で暮して行くならば段々と良くなると思う。従つて原審の少年に対する中等少年院送致の決定は著しく不当であるから、これを取消し、適当の処分を求めると云うにある。

よつて本件少年保護事件記録および少年調査記録を精査すると、少年は昭和三十六年十一月十五日少年の通学していた中学校及び少年の家庭で原決定書に詳細に記載された如き事件があつた直後、翌十六日から家出し、二〇日頃まで赤平方面を泊り歩くなど、保護者の正当な監督に服しない性癖があり、かつ、自己の徳性を害する行為をする性癖のあることが認められ、その性格および環境からみて、将来罪を犯す虞のある者であるところ、原決定の指摘する如き少年の資質、環境、少年の在学する○○中学校に於ける状況、保護者の保護能力の欠如等に鑑みるときは、この際施設に収容して矯正教育を施す以外に適当な方策は見出し難いものと考えられる。

してみれば、原審が本件非行の態様および少年の年齢等を考慮のうえ、中等少年院に送致した措置はまことに相当であり、これを以て著しく不当であるとする論旨は理由がない。

なお、一件記録を精査しても、原決定を取消さねばならない理由は一もこれを見出し難いので、抗告申立人○田○子の本件抗告はその理由がない。

次に抗告人○元○治の本件抗告の適否について考察すると本件少年保護事件記録によれば、少年の実母親権者○田○子が右○元○治の妾婦として事実上の庇護を受けているにすぎず、同人が少年のため少年法第三二条所定の抗告権を有するものとは認められないから、同人から申立てられた本件抗告申立は不適法として棄却を免れない。

よつて少年法第三三条第一項、少年審判規則第五〇条に従い、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 矢部孝 裁判官 中村義正 裁判官 萩原太郎)

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